偽フィアンセは次期社長!?
「ん?」


「すっかり言い忘れてたけど、さっきはありがとうございました」


「あーーーーー?」


あたしを気遣って、というより本気で忘れていたトーン。


「柳瀬先輩の、やつ。でもまずくないですか?余計な嘘を並べて……お、俺のオンナだの、フィアンセだの……」


″フィアンセ″という単語が上擦らないように気を付ける。


「んー?極力余計な単語は省いたはず……多分俺、フィアンセとか言ってない」


「へ?」


「あいつが勝手に騒いでただけで……否定も肯定もしないでみたけど」


いたずらっ子のように笑う課長。


……そう言われてみれば、確かに……。課長自身、『こいつは俺のフィアンセだ』とは言っていなかったかも。



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