偽フィアンセは次期社長!?
12

*****


はぁあ~、と吐く息が白い。


「覚悟はしてたけど、寒いね……」


「ほーんとー。ね、靴下何枚履いてきた?あたし3枚」


「え、うそ、凄くない?」


あたしと那由子の後ろから、声が掛かる。


「バカだろー、こいつ。そんでお気に入りのブーツ履けねぇとかって朝から騒いでんの」


隼人君が、口の悪さとは裏腹に、にこにこと優しい笑顔で那由子を見つめている。


「もー、いいでしょー、結局履けたんだから!隼人も商品並べるの手伝ってよね」


……仲良しだなぁ。



月日は流れて、今日は11月の、祝日。


覚悟していたよりも、空気はピンと張りつめていて、寒いけど気持ちいい。
< 292 / 347 >

この作品をシェア

pagetop