偽フィアンセは次期社長!?
「あるわけないじゃん!甘いよー、これ。隼人いつもあたしの買ってく甘いものに『甘い!』って文句言うじゃん!」


「ふざけんなー、朝っぱらから肉体労働したら、甘いもんだろ?」


二人のじゃれあいを見ながら、笑いが止まらない。


甘いものに甘い!って……とツボってしまったあたしは、笑いすぎて自分のレモネードをこぼしてしまいそうになる。


「ちょっ、あぶなー。大丈夫?」


大きなまあるいお腹なのに、機敏に動ける那由子。


あたしのがよっぽどどんくさい……。


「大丈夫、へへ、ありがとー」


寒い空気の中、レモネードの湯気が目に染みた。


だから、ちょっぴり涙が出そうになってしまった。


慌てて、ポンチョを直すふりをして、体勢を整える。
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