悪者女子の恋心!
「…咲」

再び真っ暗になり、布団に潜り込む。


「何?」

「椿ねー…万雄くんが初恋なんだー…」

「へぇ、凜じゃなくて?」

「うん、凜はお兄ちゃんだもん。万雄くんは…嫌われてる椿にもいつも優しくしてくれるから嬉しかったなぁ」


「うん」

「咲…?」

「あたしは、透真が全てだったから。友達も好きな人も家族も、全部ひっくるめて透真が好き」


「うん…」


「だけどね。やっぱりこのままじゃいけなかったのよね。椿も凜も…透真と離れてから出会えたの」


「え…?」

「透真のおかげね…」


透真が全部、教えてくれた。

「咲。違う…それは違うよ」

え…?

「咲が頑張ってるからだよ。だから椿も凜も引き寄せられたの。明日名くんは…むしろ咲に酷いことばっかり」


「ありがとう椿。あたし、椿が大好きよ」

「なんか…素直な咲って不気味」


この娘は…

「失礼な、あたしは割と素直な方よー?」


「あははー、ゴメンゴメン」

「思ってないでしょ!もういいわよ」

「寝よ寝よ!おやすみ咲」
「おやすみ椿」


2人で笑い合い、あたしたちは眠りについた。
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