ガラクタでも未完成
こんなトークを、淳平とは毎日繰り返している気がする。
保育園からずっと一緒なのに、なんでここまで仲が悪いのか不思議。
どこいっても邪魔ばっかしてくるのが、淳平だった。
七島くん...七島 紺は、中学で同じクラスになったクラスメイト。
家は反対方向だし、席とか班は今まで9か月一緒になったこと一度もないくらい縁がないけど、
同じ小説家志望であることから、趣味や興味が同じことが分かって、それから行動を共にすることが多くなった。
そして、あたしの初恋の人だ。
今まで男友達は星の数ぐらいいっぱい居て、みんな好きだった。
でも、七島くんの「好き」は違うんだ。
締め付けられる。
苦しくなる。
好きすぎてダメ。
こんなになったのは、七島くんが初めてだ。
これが恋だとわかったのは、夏の終わりのことだ。
あれから、なにもしないまま秋が通りすぎて、もう雪が降る。
考えてる余裕も時間もない。
分かってるけど、結局なにもしないまま。
いつか告白したい。
あたしはずっとその、いつかを待っている。
いつかを今日にできる日を。
「「おはよ」」
うわっ、だぶった。イラっ!
「んーはよ。淳平、南城。」
七島くん、いつにもまして眠そうだな//
いつもあくびばっかしてるけど。
こりゃ、この間貸した新刊本読んでたな。
こんな感じで、本の貸し借りとかしている。
あたしは赤面性だから、このきょうつうの趣味があってなんとか話せているようなものだ。
…感想とか聞きたいとこだけど、この気力は放課後に残しておかないと。
今日こそ言うんだ。
あたしはペンケースを開き、赤ペンとメモ帳をとりだし、ゆっくり文字を書いた。
『放課後、飽き教室に来てください。』