君の姿
次の日、私は何故か髪や制服を綺麗に整えて、わざわざ持ち歩くの面倒くさいとか思っていた『櫛』、『ポケットティッシュ』、『ハンカチ』などを胸ポケットに入れた
理由なんてものはわからない、でも何故か体が勝手に動いてしまうのだ
『なんだかいつもの自分じゃないみたい』というのはこの時に使うんだなと実感した
自分の教室は二階の1番端で、あまり人が通らず、そこの廊下だけ静まり返っている
私は騒がしい廊下を抜け、自分の教室のドアをゆっくり開ける
自分の席まで行き椅子を引いて腰掛ける
目の前には彼がいた
彼は何やら読書を楽しんでいるようだ
何の本かはわからない、そういう時は聞くものなのか…
ホントこういう時どうしたらいいかわからない
そんな時、彼は急に振り向いてきた
「おはよ、あっ、今日髪型変えた?すっごく似合ってる」
自分に相応しくない言葉だ
似合ってるなんて、彼の口から言われるなんて思ってもいなかった
それに彼と話せるなんて思ってもみなかったことだったので、少し戸惑ってしまい、彼は頭にハテナマークまでご丁寧に浮かべている
せめて、御礼くらいは言わせてほしいので、私は小さな声で「あっ…ありがと」とごにょごにょと言った
「どういたしまして、でも本当のことだし別に御礼なんて言わなくてもいいんじゃない?ね?」
彼は私に対して優しすぎる
そんなに優しくすると…
『期待』してしまう…