【短】ウラハラ彼女



「えい!」


「…う、わぁああぁ!?何やってんだよあんた!!」



ぶしゅ、と生々しい音がして彼女の左腕から血が溢れ出す。


右手に持つのは細身のカッター。



目の前の彼女が一体何をしでかしたか。


切ったというより、突き刺した、の方が正しい解答。


そう深々と。




……なんて。


そんな悠長なことを解説してる場合か?



とんでもない!!



彼女の腕を引っつかんで教室から連れ出し、急いで水道で傷口を洗う。


そのまま保健室へ直行はもはや鉄則だ。




「馬鹿なのかあんたは。いや馬鹿だよな。馬鹿としか言いようがない」


傷の手当をしながら文句をつらつら並べて責め立てる。




今までもこんなぶっ飛んだことは何度かあった。



いきなり壁に頭打ち付け出したり、再度窓から落ちようと試みるなど……




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