【短】ウラハラ彼女
いや、とんでもない。
僕は冷静に彼女を分析しているだけであって。
飽きもせず突っ走ってくるその図太すぎる神経を別の何かに活かせないのかと。
…そう、決して何も感じていないわけじゃない。
むしろ、その逆だ。
冷徹に振舞わなければ、深みにハマっていく。
だから僕は、突き放すしかないんだ。
彼女の笑顔の裏側を狭間、知ってしまったから。
怖く、なる。
一体どうしたっていうんだろう。
「あー、もう。何だかな…」
久々に来たような気がしなくもない屋上で、くしゃり、と頭を抱える。
ここに来るのは実に4週間ぶりだろうか。
粘り続けた自分がここにいるわけは、きっともう……決まっている。
「あ、三橋くん見っけ!」
……僕はこいつを、待っていたんだろう。