【短】ウラハラ彼女
相変わらず千切れんばかりに尻尾を振って擦り寄ってくる犬の如く、隣にごろりと寝転がった。
バタバタ騒がしいな…。
面倒くさく思いながらも、僕もそれに倣って横たわった。
強すぎもしない風が頬を下から撫で上げる。
腕を枕にして、空を仰いでいると
「ねぇねぇ三橋くん」
妙に落ち着いた声色の彼女の声が耳に届く。
半ば驚いて彼女に視線を向ければ、こっちを向いて体を丸める姿が目に映る。
いや、制服汚れるって。
そんなこともお構いなしな彼女にどうでもいい言葉を胸の内でかけてやる。
そうしないと、普段と違う振る舞いに僕の方がどうにかなってしまいそうだったから。
「……なに」
一旦間をおいて、息を吸ってから吐きかけるように問う。
「あたしね、知ってるよ。
三橋くんがすっごく迷惑してること」