【短】ウラハラ彼女
いきなり何を言いだすんだこいつは。
そんなの今更、分かり切ってることじゃないか。
僕も、彼女も。
いまいち意図が読めずに困惑していると、ふと顔を傾けた彼女と目が合った。
その表情が今までにない曖昧さで。
どこか儚くて。そしてどこか、愛おしく感じた。
「今更って思うよね。うん、おかしいのかなあたし。
でもね、それでも期待しちゃうの。
三橋くんは冷たいけど、それ以上に優しいから」
いまいち、分からない。
一体何が言いたいんだ、彼女は。
「やっぱり三橋くんが好きだなぁって思って。
嫌われてるのに、そんなところも惹かれるなんて」
泣きそうな顔で微笑むけど、それは僕からしたら強がっているようにしか思えない。
そんな彼女に声が出てこない。