【短】ウラハラ彼女
心臓を鷲掴みにされたような感覚に、柄にもなくドキリとした。
またからかわれているに違いない。
絶対そうだ。
だけども確かに、彼女は言った。
僕が、“好き”だと。
それが恋愛感情じゃないなんて、どうしてパッと考え付かなかったんだ。
「はっ……冗談、だろ。
相変わらずの馬鹿っぷり。面白みの欠片もない。
あんたは一体何なわけ?何がしたいの」
ようやっと絞り出せた言葉たちは情けなくも、虚勢や悪態ばかり。
掠れた声しか出てこないことが悔しくて仕方ない。
これじゃあすぐにバレるだろ。
僕が、動揺していることが。
「ううん。本気だよ。
あたしすっごく、すっごくね……
これ以上ないくらい、三橋くんに恋しちゃってるんだよ」
嘘だ、嘘だ。こんな言葉……