【短】ウラハラ彼女
少しばかり頭がフリーズして混乱中の僕を他所に、すっと前を向く。
おいおい…
あんたに未練はないのか。
なに、いじめにでもあったのか。
というかそんなもん見せられるこっちの気を知りやがれ。
残ったほう後味悪いどころの話じゃないだろ。
その体が地面に叩きつけられた瞬間、そばの奴らが凄惨な地獄絵図を拝むことになるって。
可哀想だ、可哀想。
………って、いやそれどころじゃない。
この一瞬でよくこれだけ……なんて自分に感心するのは後回し。
止めないと非常にヤバいことになりかねない。
思わず飛び起きて、全速ダッシュで彼女のもとへ。
既に右足が前に出て下がりかかっている。
僕は、授業ですら叩き出さないほど記録並の速さで走った。