【短】ウラハラ彼女
けどいつも、そんな彼女を罵っていた僕の方が気付いていなかったんだ。
人一人が死ぬ時、絶対に平気だという保証はないのに。
彼女は本気で死にたがっているかもしれないのに。
何だってあんなに軽く流してしまったんだ。
「あんた、女だろ」
「…うん」
「だったら自分大事にしろよ。傷付ける前にさ」
「……ふふ、可笑しいね。傷付ける前に、って。
まるであたしが本当の死にたがりみたい」
さも楽しげに笑う彼女は、自分が今どんな顔をしているか気付いてない。
今にも消えそうなほど悲しい顔をしていることに。
「本当の死にたがり、じゃないのか」
「…どうだろ。少なくとも今は、毎日がすっごく楽しいの。
ちょっと死ぬのは惜しいかな」