【短】ウラハラ彼女
昨日降った雨で、空気はどんよりとして雲は厚い。
この状態なら帰る頃にはまた降りそうだ。
折り畳み傘、持ってきていて正解だったな。
どうでもいいことを考えながら、僕らしくないと我にかえる。
だけど仕方がないじゃないか。
そうしていないと、また無駄なことばかりが脳内を締めるのだから。
――放課後。
帰り支度を整えて外を見やると、予感的中。
見事に雨が音を立てて降り出していた。
雨が降り出した所為か、教室には既に僕しか残っていなかった。
小さく息を吐いて、最後だからと電気を消すと思いのほか暗くなる。
ロッカーに入れていた傘を取り出して、鍵をかけた。
ゆったりと、誰もいない静かな廊下を歩き、靴を履き替えて外に出た。