【短】ウラハラ彼女
握る手にギュッ、ギュッと力を込めては緩めてを繰り返す彼女。
「2階の教室に誰かいるなって、下から見て、分かった。
その時に顔を出した太陽を、眩しそうに顔に手をかざす姿がすごく、キレイだって思ったの。
この人と接点を持ちたいって本能が語ってた。
あの時にね、名前も知らない男の子に恋したの。
でも、相手は人に興味がない、いっつも一人でいる変わり者って有名だった。
美形なのに勿体ないって、みーんな言ってたよ?」
「…そりゃどーも、としか言いようがないけど」
悪戯っ子のような顔で無邪気に笑う彼女は何故だか楽しげだった。
「もちろん接点なんて持てなかった。
あたしが一方的に目で追いかけてただけ。
話しかける勇気なんてなかったし、例え声をかけれたとしても、友達を作ってこなかったから切り出し方も分からない」