【短】ウラハラ彼女
「低能は困るよ本当。
あの時僕が、飛び降りかけたあんたを止めなかったらどうしてたの」
「…ドッキリって言って戯けて見せようかと」
「自分を切りつけた奴がよく言うな。まったく」
「仕方ない、でしょ……?
それだけ本気…だったんだから」
本気、ね…。
自然と口角が上がるのを感じた。
彼女の決死すぎる告白を聴いて、僕だけ逸らし続けるなんて。
きっとそんなのは、フェアじゃないんだろうな。
「もしかして、まだ気付いてないわけ?
僕があんたの事をどう、想ってるか」
「……へ?」
「本物の馬鹿だな。
一度しか言わないからよく聞いてて」
す、っと息を吸う。
生まれて初めての経験だ。
こんなに、心臓が騒ぐのは。