【短】ウラハラ彼女
それが恋だと自覚するのに時間はかからなかった。
自分でも驚くほど嗅ぎ回って分かったのは、名前と学年。
そして学校内の人気度上位だってこと。
誰が好きだ、誰が嫌いだっていう女子の会話には大抵、彼が出てきた。
「隣のクラスの三橋くんってさぁ、かなりイケてない?」
「あー分かる分かる!あの人見てるとさ、他の馬鹿な男子どもが蛆虫に見えてくるよねー」
「あれはレベル高いわ」
正直、最初はすごく焦った。
彼女がいたらどうしよう、どれくらいの女子が彼を狙ってるんだろう。
そんなことばっかり考えて不安になったけど、それも杞憂に終わったことにホッとした。
どうやら彼は、校内でも有名な変わり者らしく、人と連むのを好まない一匹狼タイプ。
地味なわけじゃないけど派手でもない。