【短】ウラハラ彼女
うまく周囲に溶け込んでいる「高嶺の花」だと、初めは騒いでた女子もあっさり退いた。
だけどあたしにはどうしても諦める選択肢はなくて、それどころか余計に闘志が湧いてきた。
敵がいないと、もっともっと欲張りになる。
話したい。近付きたい。
あたしを知ってほしい。
だけど思ったより小心者だったあたしは、近付くことはおろか、話しかけることすらできない。
すれ違うけど、目も合わない。
そんなあたしは、彼にとっては空気のよう。
何でもいいから、あの人にあたしの存在を留めてほしい。
どうしたら、いいのかな。
悩みに悩みまくったあたしは、一目だけでもと一歩前進して、彼がよく一人でいるという屋上にやってきた。
そっ…とドアを薄く開けて、真っ先に彼を見つけた。