【短編】雨上がりのキスは傘に隠れて。
「ねぇ、聞いてる?」
「ん?なにって?」
「んもぉ、だから傘無くしたのよ。ずっとずっと大切に使ってた赤い傘。」
「ふぅん。傘ねぇ。」
と、全く興味ない顔でお通しを突きながら和久が言う。
仕事帰りの電車の中で偶然に会って駅近くの居酒屋で軽く食べて帰ろうってなったのだ。
幼馴染みの和久とこうして一緒にご飯食べるのは学生の頃まではよくあったけどお互いが社会人になってからは久しぶりだ。
「不死身の傘だったのにぃ。」
「ああ、あれだろ?忘れても忘れても手元にちゃんと戻ってくるってやつ。」
「そう、私が二十歳の時から使ってたんだよ。」
「二十歳からって5年も使ってたのかよ。じゃぁ、どっちにしても限界だろ?新しいの買えってことじゃね?」
「簡単に言わないでよ。思い出が沢山詰まった赤い傘なんだから……。」
丁度、短大を出て社会人になった時、少し良い傘を持とうかなってデパートで思い切って買ったんだ。
社会人になって初めての梅雨を迎えた時だった。
そして………。
「ん?なにって?」
「んもぉ、だから傘無くしたのよ。ずっとずっと大切に使ってた赤い傘。」
「ふぅん。傘ねぇ。」
と、全く興味ない顔でお通しを突きながら和久が言う。
仕事帰りの電車の中で偶然に会って駅近くの居酒屋で軽く食べて帰ろうってなったのだ。
幼馴染みの和久とこうして一緒にご飯食べるのは学生の頃まではよくあったけどお互いが社会人になってからは久しぶりだ。
「不死身の傘だったのにぃ。」
「ああ、あれだろ?忘れても忘れても手元にちゃんと戻ってくるってやつ。」
「そう、私が二十歳の時から使ってたんだよ。」
「二十歳からって5年も使ってたのかよ。じゃぁ、どっちにしても限界だろ?新しいの買えってことじゃね?」
「簡単に言わないでよ。思い出が沢山詰まった赤い傘なんだから……。」
丁度、短大を出て社会人になった時、少し良い傘を持とうかなってデパートで思い切って買ったんだ。
社会人になって初めての梅雨を迎えた時だった。
そして………。