蜀宮廷日記
良家の子女でもあった彼女でしたから、宮中に上がることは、自然でした。

そこで、彼女は周りの行儀見習いの娘達が、大人しくしている中、普通にリラックスして、食事したり、宮廷の中を散策したりしておりました。

ある日、天気が良い時に外へ出て花を見たりしておりました。

「綺麗・・・。」

黄色、赤、ピンク、等々の花が咲いておりました。

彼女が、それを眺めていた時でした。


「綺麗な花・・・。心洗われますよね。」

優しく話しかけてきた女性が。


「なんか小さい頃に、よく花を見てたなって。」


彼女は軽やかに舞い始めました。静かだけど、しなやかに。


優雅に円を描いて踊るその姿は、真由から見ても、綺麗でした。


「私、馬超の妹で真由と申します。あなたは?」


「私は趙雲の娘の敦と申します。今は・・・。」


と話していると、後ろから、息を切らしながら男が来ました。


「もう、置いていかないでよ、あっちゃん!朕は息きれしたではないか。」


まだ二十歳前の青年であった。

“朕・・・、もしや?”

朕とは皇帝が使う“私”の言い方であった。

「真由姫殿、こちらが陛下です。」


真由は

“これが陛下・・・。ちょっと頼りない。でも優しい感じは。”


と思いながらも

「お初にお目にかかります。私は馬超の妹で真由と申します。以後お見知りおきを。」

と答えました。


「うむ、わかった。今はあっちゃんと散策をしてたのだ。そちも付き合ってくれぬか。綺麗な花もあるし。」

「は、はい。」

「真由姫殿、ご一緒に。」

敦姫が優しく微笑んで来た。


なんとなく、真由もついていくことになった・・・。


「真由殿だから、まゆちゃんでいいよね?」

陛下 即ち劉禅は気楽に話して来た・・・。
これが、三人の出会いになった。


以後、真由を気にいった二人は真由を陛下の側仕えにしたのである。

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