蜀宮廷日記
それから数日後

約束通り馬の競争をすることになった。


少し広い開けた場所を見つけた。


関興は


「よし、勝負だ!あの木の元まで先に行った方が勝ちだ!」


半里つまりは400メートルはあろうか


「いくぞ。よーい、ドン」


関興の掛け声で開始された。


最初こそ、互角に走っていた二人であったが、やがて・・・。


真由はみるみる離してゴールした。


「安国様、私の勝ちみたいですね。」


「何故だ?特にその馬追い込みがスゴいな。やはり西涼は名馬の産地、素晴らしい馬だ!」


「ありがとうございます。されど馬だけではないでしょう。やはり、人馬一体になることが肝要かと。」


「ふん、おなごのそなたにしてやられたわ。でも、馬を降りてのかけっこならば、真由には負けないぞ。馬を降りて、勝負、勝負!」

自然とおいかけっこになった二人。


逃げる真由に追う関興

さりげなく笑顔に。


しばらくして、真由が疲れて倒れこんだ。関興も自然と倒れこんだ。


仰向けの真由にうつ伏せの関興・・・。


自然と彼女の上になってしまった・・・。


見つめ合う二人・・・。


関興は思わず目をそらした。


「ご、ごめん。」


「い、いえ。」


二人は背中合わせになり、座った。


他愛ない話ながら、自然と笑みの漏れる二人・・・。


立ち上がる時には、さりげなく手をつないでいた。


関興はものすごく、顔が熱くなる自分を意識した。


さりげなく目を伏せる真由。


「か、帰ろうか。」


「は、はい。」


名残惜しいながらも、家路に急ぐ二人であった。


そんな、小さな恋に暗雲がさそうとはこの時の二人には予想出来なかった。
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