【退屈と非日常】(仮)
そして極めつけは教室のどこを見渡しても女の子、女の子、女の子。
女子高は本当に女の子しかいない、当たり前だけど驚いてしまう。
女子校生活に慣れている人にはわかるまい、このおかしな状況は。しかも男の子がいないと女の子は堕落するものだ、と言うことをその時まだ知らなかったから尚更だ。

特に「お嬢様学校」と呼ばれるレベルでない女子校に関してだけ言えば、その堕落っぷりと言えば本当に酷いものである。しかも勉強に関して関心のない女子が集まると余計に。

きっと日頃からお小言の多い年配の方が見たらそれだけで卒倒してしまうかもしれない。
まさにどこからツッコミ入れたらいいの、と叫ばれそうな予感さえする。

ちなみに女子校での挨拶は「ごきげんよう」に決まっているとかいう絵空事を本気で思い込んでいるヤツをこの時点で見つけていたら大声で笑い飛ばしてから殴っていることだろう。
夢見過ぎだ、それはちゃんとした「お嬢様」然とした存在があってこその現実なのだ、と諭してやるのもいい。
お嬢様が一人もいない女子校は無秩序だ、それが青春とか若さであると誰も信じて疑わない。得てしてこういうものなのだと私は他人事のように思っている。青臭い青春も嫌いではないが、私にはそれがなんとなくもう失われているように思う、っていうかアヤって落ち着いてるよね、友達にはよく言われる。ほっといてくれ、好きで落ち着き払っているわけではない、この程度の日常生活で落ち着きを失えという方が難しいのだ。
それなりに高いテンションを維持するのは疲れる、でもそうするべき局面は心得ているので全部が全部そうする必要はないのだとわかっているのでテンションはそこそこ高く、そこそこ低空飛行を維持することに慣れている。

心踊るような恋も、刺激に満ちた非日常もない。
ただ延々と繰り返す日常。

無秩序は日常の繰り返しの中に組み込まれている。
私の周囲を包囲して、繰り返しの中のスパイスにもならずにそこにある。

うんざりだ、同じ会話、同じメンツ、たまには刺激が欲しいと思ってしまうのは「若さ」故だと思うけれど。

今日も教室の中では見慣れた無秩序が蔓延っている。
ああ、難しい言葉って素敵、たまにそんなことを思う。

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