SとS
*衣麻*


「ねぇ~?」


「何だよ…?」


落ちたコーヒーを拾いベンチに立たせる龍平。


再び龍平は腰かけ、衣麻を真っ直ぐ見た。


ちょっとドキドキ、見ないでよ~!


「衣麻の言う事も聞いて?ダメ?」


龍平の隣に衣麻も腰をかけて、上目遣いでねだる。


「いいよ?何??」


案外、龍平サバサバしてるの…?


ん~、悔しい!


せっかくの上目がぁ~…。


「…」


だまり込んでしまった。


「黙ったな?」


ニカッて笑って熱い缶コーヒーのふたをあけた。


龍平は冷まして飲もうとしていた。
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