魔界姫志ーまかいきしー
その言葉とともに、まるでミルを中心にするように2本の光が交差する。
見事、貫通していく光の放射だったがそれだけでは倒れない。
私より強い、はるかに。
比べ物にもならないかもしれない。
「…く、…君は一体…」
そう、聞こえた気がしたけど私は気にせずに続ける。
「灼熱の焔たる炎よ 我に集いし 汝等全てを燃やし尽くせ
…ファイナル ヴァン バースト」
杖の先端に埋め込まれていた宝石の色が虹から紅く燃えるような色に変わる。
その瞬間、今まで何もなかった地面が突然揺らぎだし、ゴゴゴゴ…と爆音を奏でる。
私を守るように張られた水のバリアと
目の前には私が唱えたであろう呪文の言葉を受け
炎の海と化していた。
そこにミルの姿はなく、恐らく逃げたのだろうと思う。
ユラユラと燃える炎を見つめながら私はロイを想っていた。
守れなくて
死なせてしまって
ごめんね、ロイ…。
私に助けを求めたのはロイなのに。
そのロイを私は殺してしまった。
もっと早く、助ければ良かった。
数分して辺りを包んでいた炎は音も無く消え去り、私を守ってくれていた水の壁も消え
私を含め、焼け焦げた森しか残らなかった。
「…カメ女!!大丈…っ!?」
その声を聞いて安心したのか私の意識は途絶えた。