魔界姫志ーまかいきしー
「この世界の子じゃないのかい?ユイちゃんは」
「ああ。
今回の件で確信した」
「ふむ…それは?」
「お前らも分かってるだろうがロイは…居ない。
もし、あの女とロイ、ミルが三人で居たとするなら?
邪魔になるのはロイだろう。
そう考えると先に始末するのはロイになる。
ロイを殺され、気が狂ったこの女が無意識に魔法を発動した」
この世界は弱い者は喰われ殺される運命にある。
もしこの魔界で育っていたのなら死なんざ怖くないはずだ。
…たとえ怖くとも慣れれば気にしない。
女子供は慣れることが早いとは言えないが遅かれ早かれ
知り合いが殺される度に意識を失う事はない。
そうだとすればコイツは人の死を身近に感じられる場所で育っていない。
いつも何かしらの安全が保証されていたという事になる。
あくまで俺の勘に過ぎないが
強ち間違ってもいないはずだ。
「確かに一理あるだろうけれど…ユイちゃんは記憶を失っているんだよ?
本当はこの世界で育っていたかもしれない」