魔界姫志ーまかいきしー
「良いか。
ロイが居なくなったのは確かにあいつ等が悪いかもしれない。
が、ロイを守れなかったのはお前が弱く、脆かったからだ。
お前を見つけ出せずお前に辛い目を遭わせてしまったのは俺達に力が無かったからだ。
強くなれ、お前も。
それで また約束をすればいい」
「…シ、キ…」
「約束は守るために有るんだろ?
それなら、お前がその約束を守るまで何度も約束を重ねればいい。
そんな事で怒るような奴か、ロイは」
空を仰ぎながら呟く。
…はっ、女々しい事言ってんな俺は。
「うっ…わあああああん…!!」
今まで泣くのを我慢してたのかカメ女は子供のように泣きじゃくり、タオルを濡らしてそのまま眠りについた。
「ユイ、お前なら強くなれる」
そう呟いた俺の言葉はカメ女に伝わる事無く夜の静寂の中へと消えていった。