魔界姫志ーまかいきしー


「シキ、この先から水の音が聞こえてきますよ」

「そうか。なら水の音が聞こえる方へ進むか」

水の音…か。
この道はどこに続くんだろう?

って、その前にユエを起こさないと。
私は気持ちよく眠っているユエの身体を再び揺らす。

「うん…?」

寝惚けているのかユエがぼんやりと私を見つめ優しく頬を撫でた。

う、わ…なんか変に緊張する…ユエもシキもルイも普通で見ると格好良いと思う。

性格を除けばモテるだろうしこの中で一番、性格が普通なのはユエなのかも。

「…美咲…」

「…えっ?」

美咲。
そう呟いたユエは私の頬を優しく撫でたまま口元に笑みを浮かべた。

美咲さん、って誰なんだろう…私はユイなんだけどな。

「ユエ、起きて。行かなきゃ」

気になるけど今は先へ進むことだけ考えよ…。



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