魔界姫志ーまかいきしー


「…俺が俺でいれば何も壊れないし何も変わらないからね」

「…ユエ。凄く偉そうな事を言わせてもらってもいい?」

「ああ…構わないよ」

小さく笑って私を見つめる。
その胡散臭い笑いも何もかも造られたユエだったんだ。

今、やっと分かったよ。

「あのね、ユエ。
確かに美咲さんはもう居ないし戻っても来ない。
ユエが美咲さんを想うのは勝手だし悪い事じゃないよ?

でもさ、想うのと引きずるのは違う
休む事と休憩する事だって違うでしょ?

一日の休みと数分の休憩の違いがあるのと同じように

美咲さんの事で前に進めないのならそれはユエの自己満足、だと思う。

ユエは何の為にシキやルイと戦ってきたの?
ユエは何の為にこの国で一番になったの?

…ユエは何の為に、生きてるの」

「…俺はね、美咲のーー」

「美咲さんに代わって復讐の為、とでも言いたいわけ?」

私がそう告げるとユエは目を見開いて私から目を逸らした。

それも、肯定だと受け取っていいのね?

ユエが生きてるのは美咲さんの為。
じゃあ 美咲さんの代わりに復讐したらユエは死んでも良いって言うの?


「…そんなの、違う」


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