魔界姫志ーまかいきしー


「自分の身一つ守れねえ餓鬼が何を一人前に ほざいてんだよ馬ー鹿」

…こんな嫌味を言うのは私が知る中で一人しかいない。

「シキ…」

「おい、ユエ。
お前は今まで俺達の何を見てきた
何を学んできた?何を得てきた。

お前も、このカメ女も俺とルイが守ってやるからお前は 俺達の傷を癒すことを考えてろ」

…ああ。
やっぱりこの三人はとても強い絆で結ばれてるんだ。

私なんかでユエの心が開くわけないし私なんかが、この人達の輪に入っちゃダメなんだ。

「…参ったよ、君達には…」

溜め息を吐いて空を見るユエだったけど、それはどこか吹っ切れているような。

安心しているような顔をしていた。

…ん?
でも、シキはさっき私も守るとか言ってたような…。

「シキ…?私も守られるの?」

「当たり前だろ。主にルイが」

な、何よそれ…シキが守ってくれるんじゃないのね…。

「はは、シキも素直じゃ有りませんね」

「ルイは一々うるせえ、黙ってろ」

こんなやりとりも今じゃ普通になってきてるけど。

この先何があるか分からないのに こんなにも呑気で良いのだろうか。

嵐の前の静けさ、みたいにならなきゃいいけど…さ。



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