魔界姫志ーまかいきしー
皆が引き返そうとするのを無視して私は滝から少し距離を取る。
「おい、カメ女何してーー」
そんなシキの声を無視して私は助走をつけて滝めがけて走った。
「……っ」
もしもあの光景が嘘だったら私はこの滝で死ぬだろう。
でも、本当だったらこの先に何かがあるのは間違いない。
怖がっちゃダメ。
竦む足に力を入れて遅くなる事なく私は滝の中へと突っ込んでいった。
「いた…くない…?」
前転をするように着地した私は ゆっくり目を開けて自分の体を見る。
傷一つない、至って普通の私。
よかった…じゃあ、私が見たものは間違ってなかったんだ…。