魔界姫志ーまかいきしー
「っ、おい!カメ女!」
「ユイさん!」
「…ふぅ、大丈夫かい?」
三人の声がほぼ同時に後ろから聞こえる。
皆はちゃんと着地もできたみたい。
「…この滝、何かあると思う」
私の言葉にシキは短く「ああ」とだけ呟いて辺りをグルリと見渡した。
滝の中…と言うか滝の裏に洞窟があるような感じ。
薄暗くもない…どちらかといえば青白っぽいこの空間は何だろう…。
一体どこに繋がってるっていうの。
「とにかく先へ進むか」
そう言うなり私の手を無理矢理引き起こして前へ進むシキ。
…手、繋いでるみたい…。
って私は何を考えてるのよ…!!
わずかに赤くなる頬を隠しながらシキの後を大人しく着いて行く。
一本道で洞窟の至る所からキラキラと光る何かが埋め込まれていて。
幻想的…なんだけど、何処か国と掛け離れたような存在感。
…外れの小道みたいにこの洞窟も、あまり人目に付かない存在なのかも。