魔界姫志ーまかいきしー
優雅に舞を踊るように飛びながら私達をフリュース国の入口の手前、人気のなさそうな森へ下ろしてもらう。
「ありがとう」
そう言えばフェニックスは再び上昇して夜の空へと姿を消した。
そんな時、ルイが思い出したように口を開いた。
「そう言えば、先程の結晶には名前があるみたいですよ」
「名前…?」
私が首を傾げながら呟くとルイは一つ頷いて続けてくれた。
「ロークァット、と言う名前みたいですね」
「…ロークァット…びわ?」
「ええ。」
「びわの花言葉は確か…温和、治癒…何かがあったと思う」
「詳しいんですね?」
ルイは少し可笑しそうに、シキとユエはなぜか目を丸くさせて私を見ていた。
…え?え?
なんでそんな皆、私を見るのよ。
何も間違ったことは言ってないのに。
「…昔、花言葉が好きで調べてたから覚えてたのかも」
ふと、思い出した。
私は花が大好きで花言葉を調べて一人で書き記していた時期があった事に。
どれだけ覚えてるのか、分からないけど少なからず今回は役に立ててる気がする。
「治癒…温和…それならユエにぴったりだと思いませんか?」
ルイの言葉で私は納得した。
そうか…あの結晶…ううん。
正式には、結晶の中で眠っていた妖精の名前がロークァット。
彼女がユエに力を授けたのは彼女の属性とユエの属性が一致したモノだったから。