魔界姫志ーまかいきしー
ユエの性格も温和だし、何より治癒力が優れている。
それに、瞳だってエメラルド色をしている…結晶と同じだった。
だから彼女はユエを選んだんだ。
その力を授けるのに相応しいと思ったから。
「そういう意味があったんだね…」
私もルイの意見に賛同するかのように頷いて見せるとシキも短く「なるほどな」と呟いていた。
ユエも何となく察したのか深く頷いていた。
それにしても、フリュース国は一体どんな国なんだろう…?
「…誰か来る」
そんな、冷めた声を発したシキに緊張感が走る。
シキがこんな声を出すのは決まって敵だと認識した相手だけ。
…もしかしてミルが私達に奇襲しに来たんじゃ!?
怖くなってギュッと目を閉じるとシキとルイがすかさず私の前に出る。
隣にはユエの気配も何となく感じる。
誰だろう…こんな森の出口で感じるということはその人もフリュース国に…?
「そんな警戒しなくても良い」