魔界姫志ーまかいきしー
ふと、頭上から声が降ってくる。
見上げるとそこには深くフードを被った人間が木の枝に座っていた。
黒の衣装を身に纏っている人。
顔こそ見えないけれど…声はどこか中性的でハスキーな感じだった。
「貴様の名前は」
「ほう…己の名を名乗らずに相手に尋ねるのか?
まあ、私はお前達の名前等知っているが。
会うのは二度目だろう?…あの日以来だな、ユイ」
そう言って木の枝から飛び降りて地面に足をつけた彼女に私達は警戒心を強めるしかなかった。
二度目…?
それに、私の名前を知っている?
私と言ってる時点で女の人だろうと言うことは分かったけど…会ったことなんて、無いはず。
私達の行動を見てか、彼女は小さな溜息を零してフードを取った。
「…!」
そこには、セミロングぐらいの長さをした赤髪の、これまた顔までが中性的な女の人だった。
…この人、女、だよね…?
私でも疑うほど見分けが付けられなかった。
それほどまでに彼女は美しかったし何より格好もよかったからだ。