魔界姫志ーまかいきしー


「…この国の姫になればいいだろ」

「…え?
シキは何を言ってるの」

「この国に姫はいないはずだ。
そうだろ、ルイ」

「…ええ、そうですね…」

ルイが宮殿を悲しげに見つめて答える。
それは何処か懐かしそうに、そして憎悪を孕ませて。

ルイがあんな顔をするのは初めてだ。
いくら目が笑っていなかったと言っても…あんなに、丸でこの国が嫌いで…その姫様も嫌っているような。

どうしてルイがこの国にお姫様が居ないことを知ってるのか。

…ルイとどういう関係があるんだろう。

「…それでも、そんな簡単には無理でしょ」

「俺を誰だと思ってるんだ」

「シキはシキ。それ以下でもそれ以上でもない…騎士、じゃないの?」

「…まあ、お前は黙って着いて来てればいい」

また、そんな適当な…。
こんなところで死ぬとか嫌だからね…?

偽りの姫になって捕まって死刑とか…考えたくもないわ。


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