魔界姫志ーまかいきしー
「あ…えっと、ここに来たのが初めてで…」
急に声をかけられた私は変におどおどと しながら彼女に返す。
「そうなのね、それならアタシがこの街を案内してあげるわ
着いてらっしゃい?」
そう言えば彼女は私を置いてスタスタと人混みの中を掻き分けるようにして進んでいく。
「あの…!ちょっ…」
もちろん。
私の声など無視して先へ進む。
「はぁ…」と溜息を思わず零してしまう私だったけど、このままじゃ何も分からない
と思い仕方なく彼女の後を追い掛けた。
「アタシは オリ って言うの
あなたの好きに呼んでちょうだい?」
私が隣に歩いているのを確認してからか彼女は初めて名前を名乗ってくれる。
…オリさんって言うんだ。
珍しい名前な気がするんだけど…ここでは普通なのかな。