魔界姫志ーまかいきしー


「あの宮殿には妖精?精霊?が居るんだって、オリ知ってた?」

「…そ、そうね〜…少しなら聞いたことあるわ。」

今まで楽しそうに話していたオリだったが眉をピクリと動かして あからさまに私から視線を逸らした。

何か隠してる。

それは一瞬で分かったけれど本人が言いたくないのなら仕方ない。

人には話したくないことも有るだろうし…。

「…ユイは、その精霊と会いたいのかしら?」

「会えるなら、会ってみたいかな」

「それはどうして?
あなたも、その精霊とやらの力でも求めてるの」

どこか嫌悪を含んだ…いや、冷ややかな口調で問い掛けられ私は肩を竦める。

「力なんて有っても無くても同じだと思うし…私は興味無いよ。

でも、もし会えるなら…私のとても大切な仲間の過去を知りたい」

「過去を?」

「うん…やってもない事を事実のように言われ、親子関係を崩している人達の過去に何があったのかを」

「…そう。
あなたなら大丈夫よ。その精霊に会っても聞けると思うわ」

そう言って今度は私に向日葵のような眩しい笑顔を見せてくれるオリ。

…こんな顔するんだ。
すごく綺麗で目が離せないような笑顔。

「そうかな?そうだったらイイなあ…」

私もそう返してオリの隣をひたすら歩く。

宮殿までの道のり、私はたくさんオリの事を知った。

好きな食べ物、色、花、…他にもたくさん。

遠回りをして地下へと行く予定だったみたいだけど、その時間は私の中ではあっという間だった。



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