魔界姫志ーまかいきしー


まさか。
私は自分の耳を疑った。

王様がそんなことをしていたなんて…。

でも、私が会ったときはそんな雰囲気しなかった。

ただルイを心から嫌っているという風にしか見えなかったな…。

「そんな父親を変えたのがルイ自身だったわ。

若くしてこの国の不安の声も何もかも変えてしまったのよ。
それを見た父親が自分が悪かったと民の前で頭を下げた。

そこから変わったのよ、この国は。
あの忌々しい事件が起こる前まではね。」

月を見つめていたオリが悔しそうに唇を噛んだ。

忌々しい事件って、なんだろう…?

オリが悔しくなるほど悲惨だったの?

でも、どうしてそれをオリが知ってるんだろう…

私は疑問だったけど特に問う訳でもなく黙って聞いていた。

話し終わったら、聞いてみよう。

「宮殿の地下にいる精霊はその事件にも遭遇しているわ。

彼らを助けようと力を使ったけれど助け切れなかったみたいね」

自嘲的に笑うオリを見て一瞬、オリが精霊?

なんて思ったけどそれはない。
ちゃんとした人間だし…と言うことはオリは精霊を見たことがあるんだ。

その、宮殿の地下に住まわる精霊を。

そして、その事件の時にもオリは居たんだ。

私はそう思った。


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