魔界姫志ーまかいきしー
でも、例えオリからルイ達の過去を聞いたところで王様は信じてくれるだろうか?
証拠なんて何処にもない。
オリの話が嘘だと言われればそれまで。
証拠も何も無いんじゃ…私に勝ち目はない。
的確な何かがないと…ダメなんだ。
何かって、何?
何を見せれば、何を言えば信じてもらえる?
私に出来ること…そんなの、アレしか無いじゃない。
私に残された時間なんて後一日しかないんだもの。
やれる事をやるしかない。
それが私に出来ることなんだ。
「ユイ、アタシは今から出掛けるけれど恐らく明日も戻ってこれないわ
ここから先は一人だけれど、大丈夫よねユイなら」
「…うん、頑張るよ。ありがとうオリ」
「ええ、構わないわ。またね」
手をヒラヒラと振って部屋を後にするオリを見送ってから私は一人で考えた。
少しの間なら、使ってもいいと言ってくれたオリには感謝しないと。
私の為に凄く優しくしてくれた。
見ず知らずの私に。
「ありがとう…オリ」
私しか居ない部屋に小さく呟いたその言葉は闇の中に静かに消えていった。
朝が来ないんじゃ時間なんて分からないけど…後一日しかないんだ。
明日には王様に伝えなきゃならない。
根拠も証拠も事実も何も、ない。
それでもやってやるんだ。
私にしか出来ないことを。