魔界姫志ーまかいきしー


「少し外に出ようかな…」

私は来た時と同じように人目に着かない抜け道のような所を通って宮殿の外に出た。

騎士ではない国の人がちらほら歩いているのを見かけたから多分今は…普通なら夕方ぐらいなのかな…?

そう考えたら随分と寝てしまったし長話をしてたみたい。

再び城下町へと行くとそこには沢山の人が行き交っている。

やっぱりここは人が多い。

「あの子って…」

「そうよね、あの子は…」

私を見てコソコソと何かを話す人。

私をまじまじと見ながら横を通り抜ける人。

…なんだか凄く見られてる?

どうしてだろう、私は普通なんだけどな…。

行き交う人皆が私を見て驚いた顔をしたり拝むように軽く頭を下げる人も沢山いた。

首を傾げながらも私は適当に歩いていると、後ろから急に勢い良く腕を引かれ、暗い路地に引きずり込まれる。

「…っ、な、なに…!?離してよ…っ!!」

怖くなって叫んで手をブンブンと大きく振ったけど相手は男なのか、びくともしなかった。

怖い。

怖いよ。

振り向いてしまえば終わりだと。

今、ここで死ぬわけにはいかないと。

でも…怖いものは怖い。

私の体は恐怖から震えていた。


しかし、そんな私を他所に

頭上から聞こえてきた声は

焦りと怒りを含んでいた。

「っこの、カメ女!!」



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