魔界姫志ーまかいきしー


「で?お前は今まで何処にいた?」

「えーっと…オリって人と出会って

その人の家で寝かせてもらったり

…ルイの過去もその人から聞いた。」

ルイの過去を他人から聞いた、なんて言いたくなかったけど…そうでもしないと私が墓穴を掘りそうだし。

…どうして、って言われたりしたら何て説明すればいいんだろう?

「そうですか。大丈夫ですよ
その人は私の知り合いですから」

シキの背後から私を安心させるように微笑みを浮かべてルイが言ってくれる。

…それなら、良かった。

知り合いだったなら、まだ少し気が楽かも。

「…ルイのせいなんかじゃないから

私がちゃんと王様に言うから

だから…諦めたりしないで、ルイ」

「…貴女には参りますね」

と、苦笑いを浮かべて小さくだけど首を縦に振ってくれた。

それを見た私は安堵の溜め息を零したのだった。

「とりあえず行くぞ。ユエを待たせてるからな」

私の腕を握ったまま半ば強引に路地から離れ人混みを掻き分けながら何故か宮殿近くの森の中へと歩かされた。

…どこかの宿に泊まってるわけじゃなかったんだ…。

シキ達は自分の身を隠す為に森の中でひっそりとしてたんだ。

宮殿の近くなら、何かあった時に直ぐに入れるし、森にいるなんて誰も思わないだろうから…。


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