魔界姫志ーまかいきしー
「こんな奴、いつでも処刑にできーー」
「いいえ。貴方は出来ません!
ルイが好きだから。家族だから。
本当は気付いてるんでしょう?
ルイが殺していない事を。
ただ距離感が掴めなくてお互いに空回りをしてしまっているだけ
ただ一言、ごめんと言えなかっただけ
…違いますか、レイさん」
ゆっくりと慎重に言葉を選びつつ私は尋ねるようにして問い掛けた。
一人の人間のせいで一つの家族がすれ違ってしまった。
その期間が長すぎて、どうすれば戻れるのか分からなくなってしまった。
ルイが出て行ったのは、その環境に耐えられなかったから。
王様が連れ戻さなかったのは、父親と名乗っていいのか分からなくなってしまったから。
お母さんも妹さんも きっと二人が仲良くしているのを見たいはず。
それに、一番は…ミイさんは決してルイのせいで自分が死んだなんて思ってもない。
だから誰も悩む必要なんて、悲しむ必要なんて無かったんだ。