魔界姫志ーまかいきしー
「…カナ…様?」
ルイの驚いたような声が間近で聞こえ、シキやユエでさえも目を見開いて彼女を見ていた。
知り合い…?
「…誰かと思えば貴様達か。良く生きていたな」
スッと目を細め口元に笑みを浮かべる。
その笑みに鳥肌が立ったのは、きっと私だけなんだろう。
「…ほう、私の騎士ではなくその女に着くのか…面白い。
私も貴様らより遥かに強い奴を見つけて来てな…楽しみだ」
一瞬私を見て直ぐにシキへと視線を向けたカナと呼ばれた女の子。
三人はもう、唖然として口を開いたままだった。
『主よ、彼女が黒石のボス…カナだ』
今まで一言も喋っていない杖が私の中に語りかけに来る。
黒石…カナさん…。
そこでハッと思い出す。
いつしか、この杖から聞いた黒石のメンバーの名前を。
ベルガ、ミル、ヘヴン、そしてカナ。
だとするならばカナさんの横に膝をついてしたを向いているのは…
「ベルガ…」
小さく誰にも聞こえぬよう呟いた筈なのにベルガが軽く顔を前に向けるとその細い華奢な手でフードを剥ぎ取った。
そして、カナさんが口を開く。
「その女、ただの人間ではなさそうだな
異世界から来たというもの…」
そんなことを口にしたんだ。