魔界姫志ーまかいきしー


異世界から来た。

その言葉の意味を知るのは勿論、私しか居ない。

シキ達には記憶が戻ったことを言っていないんだ…だとするなば、なぜこの人は…カナさんは分かったのだろう?

私がここの世界の者ではないと。

変な事を口にしちゃダメだ。
ここはどうにかして やり過ごさなきゃいけない。

「……」

私はカナさんの言葉に終始 無言を貫き通す事を決める。
シキが、ユエが私を見つめているのにも決して動じない。

あくまで何も知らない風を装おう。

それよりも、気になるのが…

レイさんはカナさんを知っている。
いや、それだけじゃない。

みんなも知っている。
その事に今は疑問を覚えている。

「…今すぐ帰れ、お前は此処に来て良い者じゃ無いだろう」

ゆっくりと、慎重に言葉を選ぶレイさんにカナさんはただ口元に笑みを絶やさない。

誰もがゴクリと生唾を飲んでいる。
この次にどんな言葉が放たれるのか。

自分達の運命はどうなるのか。


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