魔界姫志ーまかいきしー


「なっ…ユイさん!?」

そんなルイの声を無視して私は自ら危険と隣り合わせの戦場へと駆けた。

ルイから離れると言うことは自然的に私を守る防御魔法が無くなるということ。

いくら私が神の子だからって心臓を狙われれば即死だし

それに、いつ死んでもおかしくなくなるってこと。

それでも私はレイさんを助けたいよ。
ここで死んだりしたら、それこそ親子の関係が元に戻らなくなる。

「…っ、ダメです、!」

地面に落ちた瓦礫や欠片を避けながらレイさんの前に腕を大きく広げて立ちはだかる。

呼吸を整える間もなく、もう既に目の前にはベルガが迫っていた。

早い。
私なんかとは比べ物にならないほど、動きが軽やかで速い。

「私の邪魔をするというのならば、手加減はしない」

鋭く強く私を睨む瞳には殺意すら篭っている。
ああ、本気でこの人は私を殺すつもりなんだ。

それに怯みそうになる。

負けるな、私。

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