魔界姫志ーまかいきしー
すると横から突然手を引かれて私の体が傾く。
「えっ…」
ぽすりと誰かの腕の中に収まった私は驚いて見上げる。
そこには口角を上げて不敵に笑うシキの姿があった。
「こいつには指一本触れさせねぇ。」
そう呟いて私を腕の中で後ろから抱き締めるように力を込めれば片手で剣を構えた。
…あれ、今なんか危ない所なのに心臓がドキドキ鳴ってる。
どうしてだろう…?
「私達に歯向かう者は誰であろうと殺す。」
「ふっ、望むところだ」
目の前ではそんなやりとりが繰り広げられている。
私には何も出来ないんだろうな。
いつも護ってもらってばかり。
でも、私は一人じゃないんだ。
私一人で何もできなくても
皆となら、できるかもしれない。