魔界姫志ーまかいきしー
「先に忠告しておいてやろう。
貴様たちにユイは守れやしない
ユイは私達が必ず手に入れる」
「ごちゃごちゃうるせぇな。
こいつは俺達が守るんだよ」
私を守りながら戦うシキだけど、これじゃあ私が邪魔してるに違いない。
そう言おうとしたけど、ベルガも手を動かしながら口を動かして、私達を躊躇なく攻撃してくる。
「カナ様に恋心を抱いていたお前に果たしてその女を護れるか?
カナ様は今や、私達のリーダーであり私達の仲間である。
そんな敵陣のボスに恋をしているお前なんぞに他の女が護れると私は思わんが、なッ!」
その言葉と同時に少し緩んだシキの攻撃を交わして私に刃を向けた。
怖いはずなのに、それなのに私はベルガの言ったことしか頭に入ってこなかった。
シキがカナさんを好きってこと…?
それなのにどうして、私を守ったりするの…?
シキとカナさんの関係って?
皆とカナさんの関係って?
私だけ何も知らないのは…もう嫌なの。
「チッ…おいカメ女、お前は少しあっちに行ってろ」
耳元で低く呟かれた声に私は確信した。
ああ、シキは本当にカナさんが好きで
私に聞かれたくなくて、この場を去らせてるんだ、と。
フラフラと震える足で私はルイの近くまで走って、ルイの背中に顔を埋めた。
「ユイ、さん…?」
そんな心配の声色でさえ私は無視して泣くまいかと必死に唇を噛み締めて涙を堪えた。