魔界姫志ーまかいきしー
…俺達が本当の意味で敵になった瞬間だった。
カナの言葉を聞いて、俺の中で何かが切れた。
少しでも信じた自分が馬鹿らしい。
それでも、なお、信じようとする自分に腹が立つ。
「シキ達をそんな風に悪く言わないで!
彼らは私の事を命をかけてまで護ってくれている。
そんなみんなの事を悪く言うのは私が許したりしない」
何かを決意したような顔付きのユイ。
この世界に来て、最初こそは間抜けで怖がりだったあいつが
今は敵に立ち向かっている。
それだけこの旅で成長したということ。
大切な仲間を失い
仲間だと思ってた奴に裏切られ
人の命の尊さを知り
人の気持ちの醜さを知り
この全てがあいつの枷になって、一つずつ強くなってるんだ。
俺達だって伊達にこの世界にいるわけじゃねえ…。
いろんな経験をしてきて今の俺たちがあるんだ。
それはきっと誰も同じ。
ユイが俺達の為に牙を向くなら
俺達だってユイの為に牙を向けよう。
仲間の為に戦う。
それ以上の理由なんていらねえ。