魔界姫志ーまかいきしー
そう思っていると私の心の中が少しずつ綺麗になっていくような気がした。
醜く汚い感情が浄化されるような、そんな感覚に陥る。
それを最後に私は元の姿に戻った。
「…良かった、戻ったか」
「有難うシキ、助かった」
私がそう笑うとシキも笑って私の頭を荒々しく撫でる。
そうして目の前のカナさんを見据える。
「ベルガ、行け」
いつの間にかカナさんの斜め後ろに膝を付いていたベルガに短く一言呟いて再びベルガは私達を襲ってくる。
… はずだったのに
ベルガは私とシキの隣を颯爽と駆けていく。
「なっ…!?」
シキがそう言って振り向く中、私もつられて慌てて振り向く。
その先には魔力を使い過ぎて瓦礫に背を預けるルイの姿。
ベルガの狙いは動けなくなったルイだ。
今からじゃ走っても間に合わない。
「ルイーーーーー!!!」
私は思い切り叫ぶ。
叫んだとしても今のルイには戦う力愚か自分を守る魔法ですら使えない。
そうなったらどうする?
また、私のせいで死なせるの?
…そんなの、絶対嫌だ。
「ルイ!!しっかりして!貴方ならまだ戦える!自分を信じて!レイさんの為にも…!!!!」
そう言って私は喉が切れそうな程叫び続けた。
ドォオオオーーーーン!!!
ベルガが腕を振り下ろした瞬間と
爆音が鳴り響いたのはほぼ同時だった。