魔界姫志ーまかいきしー


「とにかく、今日はこのまま休んでおこうか。
色々な事が一度に起こりすぎている

ユイちゃんも疲れているだろう、しっかり今のうちに休んでおきなさい」

ユエの言葉に皆頷いた。
何があろうとも今、ちゃんと休んでおかないと いざと言う時に困るもんね。

せっせとその場に皆の分の布団を敷きながらも私はシキに目を向ける。

いつもは凛々しくて頼りがいのある横顔なのに
今日は、どこか苦しそうで悲しそうな横顔だ。

それはきっと相手がカナさんだと知ってしまったから。

いくら敵だと頭では認識していても
カナさんと敵なんかになりたくないはずだ。

この人達は人や動物でさえ殺めるのに辛く悲しく怖いと抱いているのに

それが自分の愛した人となると その絶望や悲しみは計り知れない。

私だって今シキを殺せなんて言われたら同じ表情をしてしまう。

この戦いに意味は有るのだろうか?
この戦いにメリットは有るのだろうか?

少なくとも
私達はこんな戦いを望んでいない。

話し合いで和解できるに越した事は無いけど…そんな考えは甘いんだろう。

現に彼らはもう
私達に刃を向けている。

話し合いをする価値もないと。

…この戦いを避けられないと。


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